評価基準の考え方
株式会社インサイト代表 渡辺慶明


先月4月に昇級を終えた医院も多いのではないでしょうか?当方にも、人事評価や昇給につてのお問い合わせがとても多かったので今週から戦略的人事につての話題をとりあげてみることにしました。日本型の給与は基本的に2つの根幹から成り立っています。1つは年齢、もう1つは職責です。つまり、年齢と職責に応じて給与が決定されていくわけです。したがって、年齢に応じ給与が高くなるのが標準です。これは成果に応じた給与体系ではなく、若いうちは生活費がかからないので給与を安くし、生涯を通じて、皆がだいたい同じ給与を取れるように設定されたものです。

結果、日本は世界に類のない高度成長をとげることが可能となりました。企業内の内部留保を高め、終身雇用制を確保し、低配当と先行投資を行うことでジャパンアズNO1を成し遂げたのです。

しかしながら、グローバリゼーションが進んだ現在ではこれらが重荷となってしまい、それにあわせて従来型の給与体型も完全に崩れてきてしまってます。というのも、企業が成長する要因が規模と安定から、スピードと独自性に変わってしまったからなのです。一方、歯科医院に目を移してみると、未だに給与体系がなかったり、一律の昇給をしていたり、公正な評価の仕組みがなかったりしているのが多いのではないでしょうか?

そこで、当社では10年前から取り組んできた給与体系の仕組みをご紹介していきましょう。

ポイントはその医院はどんな人材をいつまでに必要としていて、何を実現したいのか?が給与体制に反映されているかどうかなのです。この評価方法は、大分類として目標分配を行い、各項目のウェイトを決めていきます。次に中分類として大まかな業務分掌分けをおこない、さらに小分類で業務を規定していく方法です。
たとえば、ある医院の目標を「患者さんとのコミニュケーションを通じ自分たちの医療技術をサービスとして提供していきたい」と設定したとします。

この場合、目標とする医院を作るための目標分配基準は以下のようになります。患者コミニュケーションを第1に考えているので全体の40%、20%が技術評価、10%が院内コミニュケーション(協調性)として振りわける。
次に、中分類として、院内の業務をおおざっぱに分類してみます。

例えば、受付業務、アシスト業務、洗浄業務、清掃業務、レセプト業務など。そして、各業務への配分率を決定していきます。受付業務20%、アシスト業務25%のようにです。
さらにアシスト業務ならば「言われたものが道具を出せる」レベルから、「治療の進み具合に応じて必要な道具を用意できる」までのレベル分けをします。わけたレベルに10点満点を最高としてスタッフが何点であるかを評価していくことで給与が明確になるようにするのです。
この項目を設定することで、この医院では何をすれば給与が上がるのかを明確にし、オープンな基準で給与評価をしていく方法なのです。

最後に、すべての目標を達成したときにスタッフに払えるであろう最高給与を設定します。つまり最高の仕事をしてくれる歯科助手あるいは衛生士にはいくら払っても良いかを決めます。(当時はDH40万、DA30万円としました)このように、目標配分の基準を決めることで、医院の給与体系が明確になることは院長自身がスタッフ払う給与への価値観もはっきりしてきます。

大事なことは、この評価方法はあくまでもスタッフにオープンでなければならず、ある時は技術が40%だったり、ある時は協調性に40%だったりしたのではスタッフが混乱してしまうので、しっかりと医院の目標を見定めた上で、決定しなければならないということです。

もちろん、医院を経営していく上で方針の変換はあり得ますが、そのような場合でもスタッフを含めて方針の変換を図ることをオープンにした上で評価基準を変更しなければなりません。

このような評価基準を導入することで、残念ですが給与が下がることもあり得ます。しかし、何がだめで給与が下がったがはっきりしていますから、スタッフも来年の具体的な改善点をたてやすく、最終的には医院の目標が達成されることにつながるのです。
<プロフィール>

株式会社インサイト代表
渡辺慶明

1958年
1月福岡県北九州市生まれ

1980年
3月慶應義塾大学法学部卒業
4月株式会社全日空商事入社

1985年
11月株式会社全日空商事退社

1986年
1月株式会社アキラックス入社
7月株式会社アキラックス取締役就任
同社企画部長として数多くの歯科医院コンサルティングを行う

1997年
11月株式会社インサイト 創業 代表取締役就任 コンサルティング業務を手がける
1998年
6月株式会社アキラックス退社

2002年
7月中古歯科医療機器販売を開始

2004年
1月中小企業経営革新法承認企業となる

2004年
12月資本金を1億251万に増資

2005年
1月千葉県ひまわりベンチャー育成基金賞受賞株式会社

インサイトホームページ
http://www.area-one.biz/