自分でできるマーケット分析 その1
株式会社インサイト代表 渡辺慶明


具体的に患者さんを増やしていくためには、2つの重要な要素があります。

1つは、自院のおかれた現状をきちんと把握すること。2つ目は何からどのようにやるかです。

一般的に患者さんを増やすためのノウハウとしていろいろ言われていますが、その多くはテクニックのみで、自分の医院で実践してみたが具体的な効果がでなかったという例が多いようです。

では、どうしてうまく行かなかったのでしょうか?

実際に医院に聞いてみると、そうしたノウハウを実践するための必要な要素である自院の分析をまったく行わず、闇雲にノウハウを入れようとしていたのです。

それではせっかくのノウハウもうまく運用する事ができないのは明白です。

そこで、自分の医院のマーケットをどうのようにして分析するのかをご説明しましょう。

1 ドットマッピング(商圏分析)

これは、現状の患者さんがどの地域からきているのかを把握します。レセコンが入っている医院でしたら、患者さんのデータをテキストファイル等で書き出します。

もし、自分でできないようならレセコンの会社に頼めばやってくれるはずです。

次に、そのデータをEXCEL等の表計算ソフトで読み込み、住所の項目でソートをかけてください。(前提として住所が正しく入力されていなければ意味がありませんが・・・)

ソートの結果を用意した住宅地図(航空地図)または、1/12500の地図に患者数を10〜50人単位でカラーシール(文房具店で手に入ります。直径3mm程度の丸いシールです)を貼っていきます。

後は、同じように競合となる医院の場所にもカラーを換えて貼ってみます。

さて、完成したドットマップを離れたところからみてください。

自分の医院にはどこから患者さんがきているかがはっきりと分かるはずです。

このマッピングを、世代別、開業年別に行うことで、自院の勢力図が明確になります。

2 マッピング分析(患者さんがこない地域の分析)

完成したマップから、何故ある地域からは患者がきていないのかのを考えてみましょう!

一般に考えられるのは、「近くに競合する歯科医院がある」、「大きな道路や線路などで患者さんの動線が分断されている」、「路線バスが通っていない」など物理的な要因がその多くを占めます。

この物理的な要因は、そう簡単には換えられないものです。もちろん中には駐車場を確保してそうした問題を解決した例はありますが改善を図ることは容易ではありません。

もし、物理的な要因もないのに特定の地域から患者さんがきていないとすれば、何か特別な要因があるはずです。

例えば、「医院の存在が知られていない」、「クチコミであまりいい情報が流されていない」などです。

このような場合には、実際にその地域でのアンケートをとらなければ解決策はうまれてきません。

また、原因がはっきりした場合でも、改善には多くの時間を要すると覚悟しておいた方がいいでしょう。

私の経験では「知られていない」医院を「知らせる」ためにチラシやティッシュなどを配った経験がありますが、効果がでるまでには最低でも6ケ月かかりました。

「クチコミであまりいい情報が流されていない」場合には、さらに難しくなります。

クチコミほどやっかいなものはなく、具体的な解決策はその地域からきている患者さんに信頼される診療を続けていくしか手はありません。

3 マッピング分析(患者がよくきている地域の分析)

一方、患者がすごくきている地域があります。本当はこの地域に力を注ぐ方が患者さんを増やすのには近道です。

なぜなら、その地域の患者さんはすでにあなたの医院のファンなのですから。

そこで、何故その地域からは患者さんがよく来るのかを考えてみましょう!

具体的には、「競合する医院がない」、「通勤に便利」などの理由もあげられるでしょうが、その地域の患者がくる特別な理由が必ずあるはずです。

もし、医院で理由がわかないのであれば、その地域の患者さんに何が一番よくてきているのかを聞いてみることです。

私のコンサル先の医院でも実践されていますが、地域の患者さんにアンケートを依頼するDMを出し、アンケートに答えてもらうようにするのです。

その際、注意するのは○x式の回答をさせてはいけません。患者さんには手間をかけさせますが、必ず記入式のアンケートにするのです。

○x式のアンケートでは、やる前から答えが分かってしまいます。

例えば、「当医院の応対はよいですか?」という質問をするとします。回答は80%がよいになってしまうのです。

なぜなら、何をもって「よい」とするかの判断基準がないため患者さんは「よい」ところを探してしまうものなのです。

また、回収したアンケートについてはスタッフ全員で検討し、返事を書いておくことと、それを患者さんが読めるように待合室においておくことです。

患者さんが書いたアンケートを医院で都合のいいように解釈するのではなくオープンなスタンスで良いことも悪いことも公表していくことこそ意義があるのです。
<プロフィール>

株式会社インサイト代表
渡辺慶明

1958年
1月福岡県北九州市生まれ

1980年
3月慶應義塾大学法学部卒業
4月株式会社全日空商事入社

1985年
11月株式会社全日空商事退社

1986年
1月株式会社アキラックス入社
7月株式会社アキラックス取締役就任
同社企画部長として数多くの歯科医院コンサルティングを行う

1997年
11月株式会社インサイト 創業 代表取締役就任 コンサルティング業務を手がける
1998年
6月株式会社アキラックス退社

2002年
7月中古歯科医療機器販売を開始

2004年
1月中小企業経営革新法承認企業となる

2004年
12月資本金を1億251万に増資

2005年
1月千葉県ひまわりベンチャー育成基金賞受賞株式会社

インサイトホームページ
http://www.area-one.biz/