開業場所をどのように決めたら良いか・・・TGとPCに注意せよ!
株式会社インサイト代表 渡辺慶明


新しく歯科医院を出したいと考えている人々にとって、「立地」は最大のリスクである。一度開業してしまえば、そう簡単に移動したり閉院したりすることはできないからだ。
 一般企業の場合でも、同じ商品を同じようなサービスで提供しているチェーン店であっても、立地が異なれば、売上げは大きく異なってくる。立地が売上げに与える影響は極めて大きい。この点で、これから開業する歯科医師にとって、立地を誤ることは致命的なことである。たとえ技術力やサービス力が優れていても、それが立地の失敗を補うには限界があるからだ。

 そのような失敗を犯さないためにも、開業を判断するにあたっては、事前に綿密な実査(実地調査)を行わなければならない。そこで、実査のポイントをご説明しよう。
その際に、最も重要な要素がTG(トラフィックジェネレーター)とPC(ポテンシャルクラスター)である。
まず、TGは「交通発生源」のことで、「人々が集中的に誘導・吸引・出入する施設またはその場所」を指し、具体的には駅・バス停・大型店舗・集中度の高い商業集積地域・大型交差点などのことをさします。

ついで、PCは、高層住宅群、公団住宅群、建売住宅群、新規開発住宅群、工場・倉庫集中就業地区、高層ビル就業地区などで、人々が密集して住居を構えていたり、就業者がとりわけ集まっていて大きな需要が望まれる場所または地域をいう。

このTGとPCを理解したうえで、開業場所を実査していくことが必要だ。

■ ポイント1−分断された商圏付近の橋や横断歩道、歩道橋は要チェック
基本的に物件周辺に鉄道や河川などの分断要因がある場合、その分断要因を挟んで反対側のポテンシャル(潜在患者)を吸引することは期待できない。こういった分断要因には上記のほか、大幹線道路、丘陵地、公園などの大型施設なども含まれる。分断要因があるエリアへの開業は原則として慎重を期すべきである。
ただし、商圏が分断されていても、橋や歩道橋、横断歩道などによりその分断要因を越えることができて、かつ、周辺でその場所以外に分断要因を越える方法がないようであれば、検討の余地がある。人々がそこを往来する必然性が高くなるので、そのような橋や横断歩道はTG(※注)になっている可能性があるからだ。物件がそこに隣接しているのであれば、大きな機会点である。
もちろん、いくら橋や横断歩道があっても、人々がそれを利用する必然性がなければ、そこはTGにはならない。実査では、橋や横断歩道の有無を確認するとともに、人々が日常的にそこを往来しているか確認する必要がある。

■ ポイント2−複数の駅の中間地点にある物件は注意が必要
複数の駅の中間地点にある場合、物件周辺の人々の行動は、日常的に各駅の方向に分散する傾向にある。それだけ物件前を通る必然性が少なくなるということなので、来院行動にも結びつきづらくなる。
このような分散行動は、道路が碁盤目状になっているような場合にも発生する。人々の分散行動は、実査する前に地図を確認することによって、ある程度の予想が可能である。しかし、実際の人々の動きがどうであるかは、きちんと実査で検証する必要がある。

■ その他のポイント
(1)TGと動線から離れている場合
物件周辺に大型商業施設等があっても、これらの施設を利用する人々が通る必然性の高い道路を探さなければならない。つまり、日常生活行動線(動線)が何処にあるかを把握する必要があるということである。物件がこの動線上にあるかどうかで、開院後の集患に大きく影響するので気をつけよう。

(2)狭い間口は歩行者が気づきにくい
物件が角地に位置しているのであれば、建物を取り巻くような看板を設置することが望ましい。角地でない場合は、間口が3m未満であると、看板を設置しても歩行者は知覚しづらいことが多い。こうした場合は「袖看板」や「可動式看板」を設置することによって、歯科医院の視界性を向上させられるか確認しなければならない。また、周辺の建物や看板の「色」「フォルム(形)」をよく観察しておき、自院の看板がそれらと色彩融合・フォルム融合しないように工夫する必要がある。
<プロフィール>

株式会社インサイト代表
渡辺慶明

1958年
1月福岡県北九州市生まれ

1980年
3月慶應義塾大学法学部卒業
4月株式会社全日空商事入社

1985年
11月株式会社全日空商事退社

1986年
1月株式会社アキラックス入社
7月株式会社アキラックス取締役就任
同社企画部長として数多くの歯科医院コンサルティングを行う

1997年
11月株式会社インサイト 創業 代表取締役就任 コンサルティング業務を手がける
1998年
6月株式会社アキラックス退社

2002年
7月中古歯科医療機器販売を開始

2004年
1月中小企業経営革新法承認企業となる

2004年
12月資本金を1億251万に増資

2005年
1月千葉県ひまわりベンチャー育成基金賞受賞株式会社

インサイトホームページ
http://www.area-one.biz/