院長とスタッフの間にある目に見えない壁 その12
株式会社ビジョナリープラネット代表 ビジョナリーパートナー 和仁達也


こんにちは。ビジョナリーパートナーの和仁達也です。

前回の続きです。(開業したドクター10名との対談内容をシェアしています)
院長とドクターの間に横たわる目に見えないカベについて、話をしています。

スタッフの良いところを見つけようと努力してみる

ドクター「私も結構スタッフのことでずっと悩んでいて、最近気が付いたことがあります。それは、スタッフが不満を持ったり医院を辞めたい、ということの原因は、結局は院長との関係がうまくいっていないことに集約されるということです。

予防がしたいから、とか他の医院を見たいから、というのは、半分以上は言い訳でしかないのでは、ということです。そこで、今私がとりあえず気をつけていることは、スタッフは人によって性格が違うので一人一人にかける言葉は、全然違えていかなければダメなのだなということです。」

「例えば、残業をいくらしても全然平気という子もいるんです。別に残業手当を出すわけでもないし、休みの日に来て、自分はそれをやりますといって喜んでやっている子もいれば、必ず定時に帰りたいという子もいます。一人一人性格が違うので、その子にどういうふうに院長、経営者として声をかけてあげるか、非常に頭を使います。」

「人によっては、変に『あなた、よくできるね』みたいなことを中途半端に言うと、かえってこちらの言っていることを怪しがる人もいるので、どういうふうに声をかけてあげるかということを気をつけています。そういう試行錯誤の中で、壁の向こう側にいる人間をこちら側の壁に連れて来て一緒にやろうという気持ちになってもらうということが大切なのかなと思っています。」

そういうことを意識し始めてから、例えばスタッフとのコミュニケーションについて何か変わっていきましたか。

ドクター「正直言って、スタッフに対して『この子のこういうところは絶対に嫌だな』という部分はあるんです。ただ、そういうことをある程度目をつぶるようになれた。それは欠点は直らないというのが僕の一つの結論なので、それをある程度、目をつぶってその子良いところを見て、そこの部分でがんばってくれればと少し前向きに考えられるようになったかなということです。」

院長側のとらえ方として、そのような前向きなとらえ方をしていくと、多分スタッフに投げかける言葉が変わっていきますよね。以前は不満を言ったり、あるいは口にしなくても院長の表情にはその気持ちは出てきたりしたと思うんです。それが良いところに目を向けようとすると、多分スタッフにそれは伝わっているのでしょうね。

それによって関係が前よりも改善された実感はありますか。

ドクター「そうですね、悪い部分はあまり言わなくなりました。ついつい言いたくなって怒ってしまうこともあるんですけども、とにかくその子の良いところをできるだけ言ってあげることによって、笑顔が多くなったり、朝早く来て掃除をしていたり、少しずつそういうことがあります。」

なるほど、特にそういうことを意識して長所の方に目を向けようとされたのは何ヶ月前ぐらいからですか。

ドクター「5ヶ月前ぐらいから考え出して、わりあい頻繁に打ち出したのは3ヶ月前ぐらいからです。今では前ほどは不安を抱えずに、『この子にはこういうふうに接していけば、ある程度大丈夫じゃないかな』というような、少しは安心感があります。」

なるほどね。今のお話は、以前は足りないところや気になるところに目がいっていた。だからそれをなんとか変えさせようとして、もし変えないのならいっそのこと辞めてもらうしかないぐらいの覚悟もあった。でも、もう直らないという前提に立ってみると、良いところを見出していかないと、お互いにストレスがたまるばかりでいけないのではないか、と考え方を変えた、ということですね。

そういうふうに考え方を変えた途端、スタッフの行動が変わるということですよね。このような頭の切り替えができれば一番良いですね。実際にはこれがなかなかできずに苦しんでいらっしゃる院長が多いとは思いますが…
<プロフィール>

ビジョナリーパートナー
和仁達也
(株)ビジョナリープラネット代表取締役。さらに(株)ワニマネジメントコンサルティング代表とユメオカLLP会長も務める。歯科医院や中小企業のコンサルティングのほか、会計事務所が顧問先とパートナーシップを築く仕組みづくりを支援している。著書に「脱★ドンブリ経営」「逆ザヤ社員が稼げる社員に変わる法」(共にダイヤモンド社)「キャッシュフロー経営って?」(デンタルダイヤモンド社)ほか多数。

和仁達也 公式ホームページ
http://www.wani-mc.com/