院長とスタッフの間にある目に見えない壁 その1
株式会社ビジョナリープラネット代表 ビジョナリーパートナー 和仁達也


こんにちは。ビジョナリーパートナーの和仁達也です。

前回までは、当社が以前主宰していた年間経営コースDMPCの会員ドクター10名との対談を通して、「院長のモチベーションアップはいかに行うか?」をテーマに話し合ってきました。(以前デンタルダイヤモンド社から「ドクタースタッフ」という本を出版する際に収録した内容です)
彼らの生の声が、これから開業を目指すあなたのヒントになればと思います。

今回からは、「院長とスタッフの間にある目に見えない壁」の存在をテーマに、引き続き対談形式でお話を進めていきます。


院長とスタッフの間に横たわる目に見えないカベの正体

院長とスタッフの間に横たわる目に見えない壁や、いつの間にか生まれている認識のギャップなどについて、院長自身がどんなことを感じているかを本音のところで聞かせていただきたいと思います。そのあたり、いかがでしょうか。

ドクター「僕は開業してずっとそれに悩んできていたのです。今まで何人もスタッフを雇っては辞め、雇っては辞めというのを繰り返してきて、辞める度にスタッフから僕が言われた言葉は、『先生は私達のことをちっとも聞いてくれない。わかってくれない。』そういう言葉だったのです。それも一人だけでなく何人ものスタッフから言われたんです。自分としては一生懸命聞いているつもりだけれども、そうじゃないんだなということを思い知らされました。」

そのギャップはどこから生まれたのでしょうか。

ドクター「コミュニケーションが足りないのか、何が原因なのか、とすごく悩みました。自分が雇われている従業員の立場だった時は全くそういうことはなかったわけです。やっぱり院長という立場になって、ガラッと世界が変わったというのが実感です。今までと同じようにやっていたつもりなのに、なぜそういうふうに言われなければいけないのかな、というのが全ての出発でしたね。」

それを悩み始めてから、どんな行動を起されましたか?

ドクター「うまくいっている先生のところに見学に行ったり、そういう人達のアドバイスを聞いたりして、それなりにやってみようとするのですが、やはり人間関係はその人その人の性格とかセンスとかいろんな要因がありますよね。例えば、女の子の身だしなみについて、『今日はいいね』とか、そういうのは誉めなければいけないんだと言われても、今までそんなことを言ったこともないのに(笑)。いきなりそういうことは、なかなか自然に言えないわけですよ。かえって何か変に気持ち悪がられたりとか、何か下心があるんじゃないかと思われるような気がして、うまくできないわけです。

食事会を企画して話すといいよ、という話も聞くので、そういうこともやったりしたのですが、本当に心を開いて話をするというところまではなかなかいけない。一度にみんなと仲良くなろうとするのがいけないのかなと思って、まずはとりあえず受付の人とそういう場をもってみようかなというふうにして、その一人と一生懸命やった時もあったんですけれども、やっぱりうまくいかない。最終的に自分は人間関係がうまくできないんじゃないかと、だんだんうつ病的な状況になってきました。自分は経営者としての資格が全くないじゃないかとか、自分は人間としての価値がないんじゃないかとか、そういうふうにだんだんなってしまいました。」

今のお話はすごく象徴的なお話だと思うんです。つまり、「先生は私達のことを聞いてくれていない」という言葉が積み重なった結果として、ドクターとしては「自分は人間関係が苦手じゃないか」となり、そこで終わるのではなく、さらに「自分は人間としての価値がないんじゃないか」とそこまでいってしまうことがあるということですね。つまり、話が「人間のアイデンティティ」にまで及んでしまうということですね。

ドクター「そうですね。他の先生がうまくできているのに、なぜ自分はできないんだということで、だんだん自信を無くしてしまうのです。」

次回、そのあたりの経緯を掘り下げていきましょう。
<プロフィール>

ビジョナリーパートナー
和仁達也
(株)ビジョナリープラネット代表取締役。さらに(株)ワニマネジメントコンサルティング代表とユメオカLLP会長も務める。歯科医院や中小企業のコンサルティングのほか、会計事務所が顧問先とパートナーシップを築く仕組みづくりを支援している。著書に「脱★ドンブリ経営」「逆ザヤ社員が稼げる社員に変わる法」(共にダイヤモンド社)「キャッシュフロー経営って?」(デンタルダイヤモンド社)ほか多数。

和仁達也 公式ホームページ
http://www.wani-mc.com/