前回、「借金は、税金を払った後にしか払えないのか?経費と同じではないのか?」という質問がありましたね。この答えについてお話ししましょう。
借金をした場合、元本(借りた借金そのもの)とそれにかかる利息を支払う必要があります。この支払利息は経費(固定費)となります。しかし、元本自体は経費ではなく資産の移動であって、税引後利益から支払うことになるのです。
「すると、もし利益が出なかったら、返済できない、ということ?」
必ずしもそうとは限りません。減価償却費の繰戻しがありましたよね。もし利益がゼロでも、減価償却費が年間400万円あった場合、その医院は年間400万円までの返済は出来ることになります。
ただ、本質的なことを言うと、減価償却費というのは今使っている設備資産の価値が減っている分を経費にしている訳だから、本当はちゃんと貯蓄しておいて、その資産価値がゼロになった時に、新しい設備投資ができる余力を蓄えておかないといけないのです。この発想は長期的なスパンでキャッシュフローを見なければ気が付かないので、多くの経営者が後になって慌てるところです。
「すると、本当なら、減価償却費の繰戻し分は、定期積立をして貯めておいて、それに頼らなくとも返済できる力をつけておく必要があるということですね」
理想的にはそうです。ただ、今日のようなご時世では、分かっていてもなかなかそのようなことができない医院が多いことも実状ですね。
さて、ここまででお金の流れの全体像を把握することができました。実はこのことを分かっているだけで、あなたは既に他の経営者より一歩リードしたと言えます。なぜなら、自院の決算データの数字を前ページの図に当てはめてみることで、課題がはっきりし、改善すべきポイントが客観的につかめるからです。
しかし、多くの院長は先ほどお話しした通り、漠然とした不安の中で立ち止まっているのです。
ここで、20分ほど時間をとって、ちょっとした演習をやってみましょう。
以下の図に、実際のあなたの医院の決算書の数字を入れてみるのです。おおよその状況を把握するだけでも、1つや2つは発見があるものです。
それでは、ストップウォッチを用意して、どうぞ。
できましたか?はじめはあまり難しく考えずに、おおよその概算の数字を入れて、「だいたいこんな感じの収支なんだな」と大雑把につかむだけでOKです。大枠をすばやくつかんで、その後に細かなところを具体的に確認していくことが数字と向き合うときのコツですからね。
ここまでしばらくの間、お金の話を中心にお伝えしてきました。次回からは、少し切り口を変えて、すでに開業しているドクターとの対談を通して、いかに仕事にやりがいを見出していくかについてお話しをしていきます。ではまた!
【和仁からのお知らせ】
今回からのお話は、拙著「キャッシュフロー経営って?」(デンタルダイヤモンド社)の中でお話している、「お金の流れの全体図」を中心に進めていきます。このコラムだけでも理解できるよう、噛み砕いてお話ししていきますが、まえもって予習をされたい方、もっと早く先を知りたい方には、こちらをお読みになることをお勧めします。仙台の実在の歯科院長とわたしが二人三脚で取り組んだ実践ノウハウを、ドキュメントタッチで紹介しています。
「キャッシュフロー経営って?ドクターをお金の悩みから解放する 」
和仁 達也 (著), 原 正幸 (著) |
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ビジョナリーパートナー
和仁達也
(株)ビジョナリープラネット代表取締役。さらに(株)ワニマネジメントコンサルティング代表とユメオカLLP会長も務める。歯科医院や中小企業のコンサルティングのほか、会計事務所が顧問先とパートナーシップを築く仕組みづくりを支援している。著書に「脱★ドンブリ経営」「逆ザヤ社員が稼げる社員に変わる法」(共にダイヤモンド社)「キャッシュフロー経営って?」(デンタルダイヤモンド社)ほか多数。
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