もし医院の給料をはじめとする待遇に不満を持ち、スタッフが一人減ったら、どうなるでしょう?
「その分、人件費が浮くから、それはそれで資金繰り的には助かるのでは?」
と思う人もいるかも知れませんが、実際はこうなります。
たとえばチェア3台、ドクター1人、衛生士3名の医院だとします。
今まで3つのチェアをスタッフ3人が稼動させてきました。
ところが、1人減るわけです。スタッフ2人で3人分の稼動量となります。
その時点で患者さんが多いか少ないかに関わらず、その仕事量に慣れてきたスタッフにとって、仕事量が1.5倍になるのは、かなりの負荷となるはずです。そうなると、なんとかラクをしたいと思ったとしても不思議はありません。たとえば、受付でのアポイントの際にも、3台のチェアが埋まることがないよう、余裕を持ったアポイントの入れ方になります。そして、自然と2人分に見合う、2人で無理のない人数に患者数が納まっていきます。そして、結局スタッフ1人が減ったことで、人件費は確かに減りましたが、それ以上に売上も減ってしまうのです。
このとき、何が問題かというと、保有しているチェアが稼動していない、つまり資産が眠った状態を作ってしまうことです。医院としては、そのチェアを購入するために借入をしています。すると、借金をしてまで購入をした資産が使われずに、眠った状態のままとなります。
しかし、院長はその眠ったチェアのために、借入金の元本と金利を払いつづけなければなりません。しかも、そのお金は医院が生み出した収益から払うわけです。それなのに、売上が減ってしまっては、元も子もありませんよね。
こういう堂々巡りを繰り返すうちに、徐々に医院が縮小し、最終的にはスタッフがいなくなって、院長が一人(あるいは奥さんと2人)で診療する、という厳しい状況に陥ってしまうケースもあるのです。
もっとも、この事例は、院長が何も改善の努力をせず、スタッフとの意思疎通もきちんとせずに惰性で流れてしまった場合の話です。みなさんなら、きっとその前にちゃんと手を打っていかれることと思います。
その際に、これからお話する、「歯科医院の中を流れるお金の全体像」を知っておくことは、非常に大きな武器となるとわたしは信じています。
次回から、それを1つずつお話していこうと思います。
【和仁からのお知らせ】
次回からのお話は、拙著「キャッシュフロー経営って?」(デンタルダイヤモンド社)の中でお話している、「お金の流れの全体図」を中心に進めていきます。このコラムだけでも理解できるよう、噛み砕いてお話ししていきますが、まえもって予習をされたい方、もっと早く先を知りたい方には、こちらをお読みになることをお勧めします。仙台の実在の歯科院長とわたしが二人三脚で取り組んだ実践ノウハウを、ドキュメントタッチで紹介しています。
「キャッシュフロー経営って??ドクターをお金の悩みから解放する 」
和仁 達也 (著), 原 正幸 (著) |
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<プロフィール>

ビジョナリーパートナー
和仁達也
(株)ビジョナリープラネット代表取締役。さらに(株)ワニマネジメントコンサルティング代表とユメオカLLP会長も務める。歯科医院や中小企業のコンサルティングのほか、会計事務所が顧問先とパートナーシップを築く仕組みづくりを支援している。著書に「脱★ドンブリ経営」「逆ザヤ社員が稼げる社員に変わる法」(共にダイヤモンド社)「キャッシュフロー経営って?」(デンタルダイヤモンド社)ほか多数。
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