気持ちって、伝わるんですよね。言葉以上に。そして女性は院長のちょっとした言動から沢山のことを感じるものです。自分の直感を信じているものです。なのでどんなに褒められても感謝されても心に響かない時もあるものです。現に私も、今当院にいるスタッフも、“院長に褒められた、認められた”ことがほとんどない、と感じていました。聞いてみれば院長はそんなことはない、と言いますし、後輩のスタッフをだいぶ褒めている姿も見かけたのですが、当の本人はそう感じていなかったようです。むしろ、もっとこうなって欲しい、成長して欲しい、という想いはひしひしと伝わっているようですが。“こうなりたい”という明確な目標を持って就職したわけでもなかったので、“こうなって欲しい”と言う院長からの直球は、往々にしてイタイわけです。かといって頑張りたくない、わけでもないので、目の前のこと、毎日の診療、は頑張るのですが、院長にとっての“頑張り”“やる気”とは違うように見えるのでしょうね。毎日の診療だけではわかりませんでした。
以前にも少しお伝えしましたが、3年目の私は反抗期でした。その頃の私には、院長からの期待が重くのしかかっていました。先輩衛生士が退職し、担当の患者さんが一気に増えた時期でした。担当し、メインテナンスに移行する患者さんがやっと増え、自分なりにやりたいことや仕事の楽しさを見つけられてきた時期に先輩の退職。先輩から引き継いだ患者さんへの対応へのプレッシャーと、院長からのプレッシャーは、キツイものがありました。診療が終わり、医院を出ようとする時、院長は必ず“お疲れ様。ありがとう。明日もよろしくね”と声をかけてくださっていました。ありがたいことです。でも、その姿はパソコンに向かったまま。感情なくただ繰り返されるその言葉で癒されるわけもなく、医院を出てフッと一息。帰宅時間も遅く自分の時間を上手く確保できなかったことにも原因はありました。でも一番は、院長からの“不満オーラ”を私が感じていたこと。忙しく過ぎていく診療中、ちょっとした一言、態度、で“何か不満を持っている”と感じられたのです。それははっきりした不満の言葉でなく、視線だったり、指示を出す声のトーンや言い方だったりします。そしてたまに漏れる一言を敏感にキャッチします。言った本人も覚えていないような一言に、本音を感じたりするものです。私にとっては、不満をはっきりと言ってくれないことの方が苦痛でした。自分なりにやっているのに、何が不満なのだろう。どうして認めてもらえないのだろう。院長との距離は開き、この頃わざと違うセミナーに出席するようにしていた気がします。それは私なりの“やる気がないわけじゃない”アピールと、素直になれない意地でした。結果的にはそこでいただいた素敵な出会いが今の私を育ててくれたのですが。
さて、そんなある時、私は院長の不満の形を目にする機会がありました。それは、院長が他の方に送った“相談メール”でした。そこには私をどう育てて良いのかわからない、院長なりの悩みと不満が書かれていました。私自身が、ある程度の仕事ができるようになり、満足してしまっているのではないか。院長から見れば、まだまだ出来ていないことが目に付くのに、本人は自分の悪いところ、弱いところが見えていないのではないか。と。そのメールを見たとき、とっても気が楽になりました。今まで不満を感じながらもわからなかったことが、はっきりとわかったからです。院長はそんな事を考えていたんだ、とすっきりしました。私としてみれば、ある程度患者さんも増え、自分なりに成長を感じている時期。でももちろんそれで満足していたわけではありません。でも悩みや課題に直面していても、自分に不満を持っている、と感じている人に相談できないんです。それも院長に“悩んでない”と誤解させてしまった要因なのでしょう。自分なりにここを直さないと、もっと勉強しないと、と思っていても、今まで頑張ってきた現状をまず認めないと前に進めないんです。でもそのメールを見て院長の気持ちがわかってから、院長といろいろ話す気になりました。それからミーティング等により目標の一致、につながっていったのですが、その話はまた次回。
先生の望む“やる気のある衛生士”と本人の考える“やる気のある衛生士”。これって必ずしも一致しなくても良いのではないでしょうか。患者さんとのコミュニケーションでも感じることなのですが、自分が何か伝えたい、その前に、自分はその方が伝えたいことをきちんと聞けているかな、と。自分がしたいこと、良いと思うこと、ばかりしていないかな。その方のして欲しいこと、その方の価値観で良い、幸せ、と思うこと、ができているかな、と。スタッフだって、先生だって、いろいろ考えているものですよね。不満があると言うことは、考えていること、相手に望むもの、があると言うことです。それをどうやって一致させるか。不満を気づきやチャンスにどうやって変えるか、次回お伝えしたいと思います。
|

<プロフィール>
わたなべ歯科
歯科衛生士 長山和枝
略歴
2000年3月:歯科衛生士学校卒業。わたなべ歯科就職決定。
同年4月:わたなべ歯科新規開業。目の前のことにいっぱいいっぱい。
2001年:院長との関係、歯科衛生士の仕事に悩み苦しむ
2002年:セミナーや他院見学で多くを学び吸収できる余裕ができる。
2003年:院長と本気で話せるようになる。
2004年:診療室内が楽しくなる。感謝の気持ちが生まれる。
2005年:多くの出会いから成長させていただく場を沢山いただく。
2006年:スタッフの入れ替わりを乗り越え、安定した院内に。6新人教育が目下の課題。
埼玉県春日部市にありますわたなべ歯科に勤務しております。
歯科衛生士の長山です。新卒で新規開業のわたなべ歯科に勤務して7年。
ずっとわたなべ歯科におります。家族の誰よりも長く時間を共有する院長との関係作りや、自己研鑽のステップ、歩合給になり雇用形態が変化した後の変化など、お伝えしていけたらと思います。
所属勉強会
日本ヘルスケア歯科研究会
中野予防歯科研究会
EBH研究会
DHサミット
溝越さんを囲む会
過去の発表・著作物
フォーラム東京スタッフミーティング
ヘルスケアシンポジウム
衛生士シンポジウム主催
LB会主催
ヘルスケアニュースレター
歯科衛生士マンスリーネットワーク
EBMの実践
私の悩みを聞いてください
予防歯科YEARBOOK等々
http://www.dentwave.com
にコラム連載中
動物占い:母性豊かなコアラ。世話好きで信頼感あり、2面性あり。
家電占い:照明。仕事ぶりは真面目。半年に一度切れて怒られる。
いぬ占い:柴いぬ。味方にすれば優しくて頼れる人。敵にすれば一筋縄ではいかないこわい人。 |