前回わたなべ歯科の面接〜就職までをお伝えしましたが、今回は開院直後のお話です。
開院直後の私の悩みは、会話、関係作り、でした。就職してすぐの私は、院長と会話をすることが苦手でした。開院直後のアポイントは、空いていました。当然と言えば当然ですが、今の方が忙しく、毎日あっという間に時間が過ぎていきます。ですが時間のない今の方が、院長との会話の量は増えています。自分の意見を言えるようになった、言わせていただける関係にして下さった、と言いますか。衛生士学校を卒業するまでは、家族、友人、知人、学校の先生等々、必然として出来上がっている関係の中でしか、会話してきません。それが突然、自分自身の働きへの対価として、お金をいただくことになり、“上司”であり“雇用主”である院長と、毎日誰よりも長い時間過ごすことになるのです。しかも新人です。何もできません。お金をいただくどころか、教えていただくことばかりなのです。先生も先輩も“何でも聞いてね”スタンスは取ってくださっているのですが、何を聞いたら良いのかがわからないのです。自分が何がわかっていないのかがわからないのですから。院内にいても、院長と先輩DHの会話が雲の上。何の話をしているのか理解できません。患者さんとも、何を話したら良いのかわかりません。処置の説明をして、と言われても、自分自身がその処置を満足に理解していない、初対面のさまざまな職種、年齢、性格、の方々を前に、雑談もできない。信頼関係を作るなんて、どうしたら良いのかわからない。そもそも自分自身に自信がなく、自分自身とすら信頼関係を結べていません。非常にジレンマを感じました。
アポイントの空いている時間は、院内の整備や研修に当てていました。いざ診療!となってみると、あれがない、これがない、モノの配置はこうが良い、ああが良い。それが落ち着いたら、足りない知識と技術を猛特訓。目の前にやらなければならないことが山積みでした。
熱い気持ちを持って開業された院長はやりたいことがいっぱい。その為にはできるようになって欲しいことがいっぱい。私の前にはできていないこと、やらなければならないこと、がいっぱい。ここで温度差が生じました。できないことを一つ一つ、練習して、勉強して。でも一つできるようになっても、院長の理想は高く、次はこれ、その次はこれ、とレベルアップしていく。今考えれば当然のことなのですが、その当時はだんだん疲れてやる気をなくしていきました。初めはジレンマを埋めるために学んだり練習したりしていましたが、頑張っても頑張っても認めてもらえず、何のために頑張っているのかがわからなくなったのです。今はわかるのですが、新人の頃の頑張りなんて、基本的なことが当たり前にできるようになるために当然のことであって、本人が思っているほどできるようになった訳でもなければ、自負することでもないのですよね。でも、本人にとってはずい分できた気になっているものなのです。なのに院長からの“不満”オーラは伝わってきます。辞めようかな、なんて何度思ったことでしょう。
開業当初から、院長がこだわってきたことがあります。それは“担当性”と“方向性を一致させること”。この2点が、私のやりがいであり、院長に急降下させられたモチベーションを支えてくれていたものでした。患者さんを担当し、その方の笑顔と健康をサポートする。その為に自分自身をステップアップさせ、患者さんとより良い関係を作る。今もそうですが、沢山の患者さんに支えられ、育てられてきました。そして方向性を一致させるためにといろいろ連れて行かれた研修会。そこで沢山の知識や技術を学び、自分自身の現状を理解するとともに、沢山の素敵な方々に出会いました。研修会に出ることで、あんなふうになりたい!と思える素敵な衛生士の方々とお話させていただき、院長の目標ではなく私自身の目標が定まり、自らの“やりたいこと”ができました。そして重要なのは行き帰りや休憩中などの院長との会話。どうしてこう言う研修に出て欲しいのかや、参加した研修の感想を聞くことで、院長が何を目指し、どう言う診療室を作ろうとしているのか、その為に自分に何を求められているのか、次第にわかってきました。そして最近では、その方向性が医院の方向性として患者さんに認知され始めていると実感できます。医院として一貫したメッセージを伝え続けること。それによって患者さんにどんな医院かが浸透し、共感した方々が足を運んで下さる。時間はかかりますが、院長にも、スタッフにも、患者さんにも、伝え続けていればメッセージは伝わるものですね。 |

<プロフィール>
わたなべ歯科
歯科衛生士 長山和枝
略歴
2000年3月:歯科衛生士学校卒業。わたなべ歯科就職決定。
同年4月:わたなべ歯科新規開業。目の前のことにいっぱいいっぱい。
2001年:院長との関係、歯科衛生士の仕事に悩み苦しむ
2002年:セミナーや他院見学で多くを学び吸収できる余裕ができる。
2003年:院長と本気で話せるようになる。
2004年:診療室内が楽しくなる。感謝の気持ちが生まれる。
2005年:多くの出会いから成長させていただく場を沢山いただく。
2006年:スタッフの入れ替わりを乗り越え、安定した院内に。6新人教育が目下の課題。
埼玉県春日部市にありますわたなべ歯科に勤務しております。
歯科衛生士の長山です。新卒で新規開業のわたなべ歯科に勤務して7年。
ずっとわたなべ歯科におります。家族の誰よりも長く時間を共有する院長との関係作りや、自己研鑽のステップ、歩合給になり雇用形態が変化した後の変化など、お伝えしていけたらと思います。
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http://www.dentwave.com
にコラム連載中
動物占い:母性豊かなコアラ。世話好きで信頼感あり、2面性あり。
家電占い:照明。仕事ぶりは真面目。半年に一度切れて怒られる。
いぬ占い:柴いぬ。味方にすれば優しくて頼れる人。敵にすれば一筋縄ではいかないこわい人。 |