私は仕事の成果を、“能力のレベルとモチベーション(意欲)のレベルの積”、で表しています。つまり式にすると、“成果=能力×意欲”です。積であることの意味は、どちらかを向上させることで大きく伸ばすこともできる反面、どちらかがしぼむと一気に小さくなってしまうところにあります。もし、どちらかがマイナスであったならば、成果もマイナスになるのです。
能力がマイナスになることはないにしても、モチベーション(意欲)のレベルはマイナスになることがあります。それはしばしば新聞紙上をにぎわす不祥事になって現れます、新聞などに出なくても身の回りには沢山の事例があると思います。組織や上司に対しての信頼をなくし、意欲が全くなくなったときに、人は不適切な行為に及ぶと言われています。
管理者の仕事は、“部下が組織の目標と戦略に対して、常に整合性のある行動をとることを確実にするもの。その目的のために部下を勇気付け、能力を向上させ、時には強制することである”と言えます。ピーター・ドラッカー氏の言葉を借りれば、“リーダーの最大の仕事は部下をやる気にさせることである”です。今回はそれに関わる「期待理論」を紹介します。
>期待理論
人は期待の度合いによってモチベーションのレベルが変化するといわれています。期待の種類には3つあります、「努力→行動」、「行動→結果」「更なる期待」です。
「努力→行動」は“努力すれば自分にできるだろうか”というもので、うまくできると考えるときに人は本気で取り組むというものです。逆に言うと、できそうにもないと思ったときには本気になれないともいえます。楽天の野村監督が言っていました、“人を育てるとは自信を育てることだ”。つまり大切なことは部下が「できる」と思えることの範囲を広げてやることです。そうすることでより高い目標に意欲的に取り組む姿勢が生まれるのです。
そのためには、できたことや成長したことを承認することが効果的です。漫画のドラゴン桜にもありました、一番自信を付けさせるのが「成長したよ」という言葉だそうです。自分が成長したかどうかは、自分ではなかなか分からないものです。カラオケではじめて歌って「上手ですね」と周りの人達に言われた時に、自信をつけてもっと歌いたくなった記憶がありませんか?それと同じだと思えば分かりやすいのではないでしょうか。
「行動→結果」は“うまく行ったときに「与えられる報酬」が割に合うか”で、望む報酬が得られると思った時により本気になるというものです。ここで言う報酬とは金銭や品物などの物質的なものばかりではありません。上司からほめられることや周囲から認められることなどがあります。ゲームセンターで優秀な成績にスコアや順位が掲示されますね、それも報酬の一つです。それが期待できるときに人は本気になるのです。
自分自身の「達成感」や「成長の自覚」なども報酬の一つにあげられます。達成感については先に述べた目標設定理論と関係があります。自分にとって「少し難しいかな」と思える目標を達成したときに、一段と高くなります。成長の自覚も同様に、「こんなこともできるようになったんだ」と思えるようなときに強く感じられます。そのためにも、達成感や成長を自覚できるような仕事をアサインすることが重要です。
「更なる期待」は“直後の報酬が、更に将来に好ましい影響を与える”場合により頑張るというものです。つまり、そのことを達成することが将来の昇進や昇格に繋がっていると思えることや、仕事を一人で任せてもらえたり、もっと高度な仕事を任せられることなどに繋がっていると感じられることです。
そのためには風土と制度が必要です。上司が偏見や先入観なしに部下を見るということも大切ですし、組織として目標管理制度があることが望ましいです。小さな組織であっても「何をすれば何が待っているか」が明確に分かっているほうが意欲的に働くことに繋がります、「認められる」ということは誰にとっても嬉しいことなのです。
今回は「期待理論」を取り上げて、スタッフのモチベーションを上げるために「何をすればいいか」を述べてみました。サービス業においては相手に提供する経験の質が問われます。より良い経験を提供するには、スタッフの皆さんのモチベーションが高いことが必須の要件で、その管理こそが上司の最も重要な仕事の一つなのです。
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<プロフィール>
ビズ・ナビ&カンパニー
長田周三
1952年3月12日山口県下関市生まれ
2006年現在 オーストラリア ボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA) 在籍
中小企業大学校講師・九州生産性本部講師・日本経営協会講師
【職歴】
1974年 ECC外語学院で英語講師として勤務
1979年 株式会社アイエスエイ入社、大学・短期大学・専門学校・私立高校・公立高校への国際教育プログラムの企画提案・営業・営業管理に従事
コーチングファーム・ナビゲーター設立
中小企業経営者へのコーチング、ビジネス・スキル・ワークショップを開催する
株式会社ビジネス・ナビゲーター設立
企業への教育・研修と中小企業への経営コンサルティングを行う
2005年株式会社ビズ・ナビ&カンパニーを設立し、代表取締役社長に就任
【実績】
コンサルティング実績 ・ビルメンテナンス会社
営業戦略の構築と実行支援 ・飲食業/ 結婚式場
組織戦略の構築と実行支援 ・税理士事務所
目標管理制度の構築と運営支援 ・住宅建設会社
営業戦略の構築と実行支援 ・アパート建設会社
営業幹部育成・営業戦略の構築と実行支援 ・土木建設会社
営業幹部育成と営業体系構築 ・製造小売業(製造・卸)営業幹部育成
・営業戦略の構築と実行支援
研修実績
・経営管理者養成講座
・営業管理者養成講座
・目標管理制度の構築 ・ 中堅営業担当者の為の科学的営業
・マーケティング発想の営業 ・営業コーチング ・ 個人情報保護とマーケティングの視点
・問題解決と論理的思考
・ 論理的プレゼンテーション
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