某歯科衛生士学校の3年生が実習に来ました。第一印象は少しおっとりしていますが、挨拶もきちんと出来ますし、まじめで頭の良い学生に見えました。
「就職先は決まったの?」と彼女に聞いてみると、「はい。進学します。社会福祉士になります。」と答えました。「社会福祉士?衛生士にはならないの?」「衛生士は歳をとってもできるかな、っと思って」と彼女が真顔で答えたので、「えっ?!臨床の楽しさを知らないで、もったいない」と思わず大きな声を出してしまった私です。そもそも歯科衛生士も社会福祉士も、彼女はその資格が欲しいという理由で入学・進学を希望しているようです。そんな彼女の実習態度は、彼女の心の思いを正直に反映していました。メモをとらない。質問をしない。言われた事しかしない。奉仕の心はない。私の目には、やる気のない学生に思えて仕方ないのです。
ある日、勤務医のドクターが昼休みに入るチョッとした隙間時間に、せっかくだからと彼女にバキューム操作を教え始めました。ドクターは模型とバキュームを持ってきて、説明を始めました。しかし彼女の顔は非常に不服顔。まるで「そんなことは知っているし、昼休みになったんだから休ませて」と言わんばかりの顔つきなのです。午後は、見学ばかりではつまらないだろうと、中学生の患者に歯磨き指導とフッ素配合歯磨き剤の使用方法を説明してもらいました。教科書通りの説明は出来ていますが、相手の年齢や行動変容を促すためのモチベーションがやはり出来ていません。メモを取りながら側で聞いていた私は、彼女にどのような助言をしていこうかと考えていました、すると歯磨き指導がいつの間にか部活や学校の話に変わっていて、軽く盛り上がった話を患者としているのでした。やや自分勝手な態度が目に付き始めてきたので、「○○さんはメモを取らないけど、見学していて解らないこととか、質問ってないの?」と聞いてみると、首をかしげながら「特に質問はないですし、見ていて大体解りますから」と言い切ったのでした。
いかがですか?ウソのような本当の話です。これが実習生(歯科医師の研修生も同じ)の実体なのです。「教えてもらう。学ばせてもらう。」そんな気持ちなんてサラサラないのです。「お金(授業料)を払っているのは、私たちよ」という態度であり、まさにVISITOR(お客さま)なのです。このような学生が就職してくるのですから、先が思いやられます。「新人研修を徹底して、育てるぞ!」と意欲的にこちらが取り組んでも、相手がお客さま態度であっては、すぐに辞めてしまいます。優秀な人材であれば戦力として育てていく(投資)ことも必要ですが、今は、お客さまスタッフを雇用していくケースの方が多いのが実情であり、VISITOR(お客さま)をいかに上手く雇用していくかを考えていくことも、これからは必要なことだと私は思うのです。 |

<プロフィール>
歯科衛生士 長岐祐子
<略歴>
1963年 東京生まれ
1983年 北原学院衛生専門学校卒業
医療法人一秋会 遠藤歯科クリニック勤務
1985年 退社
1985年 医療法人明和会 中通歯科診療所勤務
1989年 退社 (子育てに専念)
1996年 フリーとして開業医勤務
2000年 医療法人東京堂 港町歯科クリニック勤務
2005年 6月退職 10月さいとう歯科クリニック勤務
<主な活動>
2001年
スタディーグループ Y/N's会を発足
(グループ内での研修会・健康教室など行う)
2004年
健康管理士資格修得
日本ヘルスケア研究会歯科衛生士卒後セミナー終了
2005年
TBI/PMTCセミナーアシスタント
9月より「コーチング実践セミナー」
10月日本ヘルスケア歯科研究会秋のシンポジウム「歯科衛生士活動報告」発表
・日本ヘルスケア研究会正会員
・日本歯周学会会員
・日本歯科衛生士会会員
<主な発表>
2002年
「予防のマネジメント」日本歯科衛生士会学術大会
2003年
「予防のマネジメントにおける歯科衛生士の働き」デンタルハイジーン7月号
「歯磨き指導からセルフプロデュースへ」デンタルハイジーン11月号
2004年
「磨けば楽しい話す力」 デンタルハイジーン3月号
診療室拝見:港町歯科クリニック デンタルハイジーン9月号
2006年 「ヘルスケア歯科シンポジウム」報告 デンタルトリュビューン5月号
2006年 デンタル ウェーブ
http://www.dentwave.com/
コラム連載中
<趣味> 映画鑑賞・読書
<ストレス発散方法> カラオケ
<特技> ありあわせ材料で簡単クッキング |