スタッフ研修で、患者役を勤務医のドクターにお願いし、口腔内写真撮影の練習をしたときの話です。撮影が終わり、画像をパソコンに取り込んでいた私のところへ、片付けの終わった衛生士たちがやってきました。彼女たちは「下顎は撮影し難かったものね、虚像が写っている。……ミラーの端も写っている。」などなど、自分たちの出来ていないところを厳しく見ていました。上手く撮影することでいっぱいなのでしょう、歯肉の状態やカリエスの有無には意識が到達しません。そして評価のためにプリントアウトを始めました。次に患者役のドクターがやってきました。画像をみながらしばらくドクターは黙っていました。やがてすべての画像を見てから口にした言葉は「矯正はしたけど、やっぱり下顎は撮影し難いよね。うぅん?、それにしてもこの年齢で、臼歯部の補綴にゴールド、小臼歯にセラミックが入っているなんて、そこそこ、お金かけている金持ちの口の中って感じだね。」でした。記念にと、その画像をプリントアウトし満足していました。
そのドクターと私は同世代でありますが(もちろん安易に患者役を引き受けた者とスタッフ教育者との立場の違いがありますが)この口腔内写真から受けとめる意識の違いが、大きくあります。一つ目は「口腔内写真が上手く撮影できているかどうか」という評価をする意識。二つ目は「補綴が多い=治療歯が多い」ことから、加齢に伴うカリエスリスクコントロールをいかにしていくべきかとういう再発・予防の意識。三つ目は歯磨剤をまったく使用しない彼女の歯は、かなり着色しています。この着色を取りさらにホワイトニングをすれば5歳以上は若返るという。抗加齢を考える意識。以上3点の意識の違いです。
当然立場が違えば意識も違ってきます。しかし大事なのはこの意識の統一だと思います。
院長(医院の理念・治療方針)=スタッフ=患者、この横並びの意識統一が図れなければ、良い医療提供は出来ないし、患者満足も得られないのではないでしょうか。
例えば、勤務医ドクターを患者Aとして考えてみます。患者Aは、治療にお金をかける意識はあっても、予防や抗加齢には意識がありません。ここで歯科医師の治療方針に治療から再発・予防と抗加齢までが組み込まれていれば、患者もスタッフも意識が生まれてきます。結果的に患者の選択で治療までで終了になるかもしれませんが、意識と情報の提供は出来るはすです。
しかし院長の意識が、スタッフに浸透し波及効果が得られるようになるには、身近な出来事を事例としながら、継続的な教えが必要です。口腔内写真の練習も「何故撮影するのか」その意味をスタッフ全員に理解させておかないと、痛くない・上手い・素早い撮影できるという、機械的な作業をするだけのスタッフになってしまいます。
つまり、院長のConsciousness(意識)がスタッフの認識力を高めるのです。 |

<プロフィール>
歯科衛生士 長岐祐子
<略歴>
1963年 東京生まれ
1983年 北原学院衛生専門学校卒業
医療法人一秋会 遠藤歯科クリニック勤務
1985年 退社
1985年 医療法人明和会 中通歯科診療所勤務
1989年 退社 (子育てに専念)
1996年 フリーとして開業医勤務
2000年 医療法人東京堂 港町歯科クリニック勤務
2005年 6月退職 10月さいとう歯科クリニック勤務
<主な活動>
2001年
スタディーグループ Y/N's会を発足
(グループ内での研修会・健康教室など行う)
2004年
健康管理士資格修得
日本ヘルスケア研究会歯科衛生士卒後セミナー終了
2005年
TBI/PMTCセミナーアシスタント
9月より「コーチング実践セミナー」
10月日本ヘルスケア歯科研究会秋のシンポジウム「歯科衛生士活動報告」発表
・日本ヘルスケア研究会正会員
・日本歯周学会会員
・日本歯科衛生士会会員
<主な発表>
2002年
「予防のマネジメント」日本歯科衛生士会学術大会
2003年
「予防のマネジメントにおける歯科衛生士の働き」デンタルハイジーン7月号
「歯磨き指導からセルフプロデュースへ」デンタルハイジーン11月号
2004年
「磨けば楽しい話す力」 デンタルハイジーン3月号
診療室拝見:港町歯科クリニック デンタルハイジーン9月号
2006年 「ヘルスケア歯科シンポジウム」報告 デンタルトリュビューン5月号
2006年 デンタル ウェーブ
http://www.dentwave.com/
コラム連載中
<趣味> 映画鑑賞・読書
<ストレス発散方法> カラオケ
<特技> ありあわせ材料で簡単クッキング |