帰属意識を満足させるもの・・・人を集める12の要件とその工夫 vol.4
株式会社プラネット代表 小池和人


人間は家族、組織、会社、社会、国家に所属している事によって安心感を得ています。種族繁栄の本能の延長線上に帰属意識を満足させるという本能を持っています。前回書いたように同じ目的をもった仲間たちが集まり、その集まりが繁栄していこうという本能が働きます。どこかに所属したいという本能は人間にとってもとても重要な本能です。

先日テレビの番組を見ていたら、亀田兄弟の次男に勝って世界タイトルを防衛した内藤選手の話を放映していました。内藤選手は中学校時代に同級生から毎日のようにいじめにあい、いつか強くなって見返してやるんだとボクシングを始めたそうです。その番組の中で内藤選手が中学校時代の話をしていました。それだけいじめられていたのなら学校へ行かなくなるのでは?と思っていましたが、思わぬ事を言っていました。いじめられるのは胃潰瘍になるくらい嫌だったが、どうせいじめられるのならといじめグループに所属して、いつも最後尾について歩いていたそうです。

驚嘆なはなしではありますが、どこかの組織に所属していたいとう本能がそうさせたのではないかと思います。では医院経営で大切なことは何でしょうか。どうすれば帰属意識を患者さんに満足していただけるのでしょうか。これはスポーツクラブを経営していた時の話ですが、僕が何度も健康の為にスイミングは最適ですよと営業に通いつづけて、そこまで言うならと入会してくれたご年配の女性の方がおられました。この年になって水着になってスイミングをすることが恥ずかしいというのをなんとか説得して入会してもらいました。しかし、思わぬ事でたった一回スポーツクラブに来られただけで退会してしまったのです。

その日はたまたま僕はいませんでした。勇気を振り絞って、初めて来られたにも関わらず、その方を知っているスタッフが誰もいませんでした。そして、その日のスタッフの対応がとても冷たく感じたそうです。何度も何度も家に行き、事情をお話しましたが会う事すら出来ませんでした。覚えている方が誰もいなかった・・・これほど寂しいことはご年配の方にとって無かったのだと思います。それ以降、誰が来てもそしてフロントにアルバイトが入っていたとしてもある程度、声をかける事ができるようにと会員さんの管理用に当時数千万円したコンピューターのシステムを導入する決断をしました。

人の記憶には限界があります。12時間の営業時間をクリアーしようと思うと最低2交代制をとったりアルバイトにフロントを預ける事もあります。その方がいつくるのか分からない中で、台帳での管理ではとても対応しきれないと分かったからです。その後、結局、会員システムは自分たちでプログラムする事にしました。(これが今の会社の大元のきっかになっています)そして、当時スタッフ全員にパソコンを扱えるように教育しました。それ以降、そういったトラブルは激減しました。自分たちの記憶の補助そして自分だけではなく、働いている全員に会員さんの情報を共有できるようにしたのです。後に退会の理由を考えるとこの「帰属意識を満足させるもの」を満足させていない事が一番大きかったように思いました。

僕がDentalXというシステムをこの歯科業界に10年位以上前に開発して歯科医院の皆様に提案した一番大きな理由はそこにありました。一度通院した医院さんは僕の口腔内のことをしっかり管理し、いつまた行ったとしても覚えていてくれる。一度行ったことを覚えていなくて、再度、初心のように扱われては寂しいの一言です。患者さんのデーターはいつでもすぐに引き出せるようにしておく。それが何年も前の事であっても。

ホームレスの人たちが仕事に復帰出来ない大きな理由の一つに一度社会から離脱してしまうともう一度その社会に帰属する為に相当の勇気がいると言われます。そういう人たちはどんどん孤立していってしまいます。しかし、今度はなぜかホームレス同士という仲間が集まり独自の社会を形成していきます。やはり帰属意識を満足させる本能なんでしょう。

今年、ある医院さんに取材に行きました。そこで働いているスタッフさん一人一人にインタビューをしました。「あなたは勤めてからこの医院を辞めたいと思った事がありますか?あるとしたらそれはいつですか?」という質問をしました。多くのスタッフさんが一度は辞めたいと思った事があるそうです。ある方は「入社して3ヶ月」ある方は「入社して3日目」という方もいました。彼女たちが口を揃えて言うその時辞めなかった理由は「仲間がいたからです。」でした。「悩んでいた時に一緒に働いていた仲間が声をかけてくれ、相談にのってくれました。」と彼女たちは話してくれました。

患者さんもスタッフさんも「帰属意識を満足させるもの」という視点で人を集めようとした時、普段からのオープンなコミュニケーションが大切だという事が彼女たちの言葉から分かりました。「帰属意識を満足させるもの」裏を返せば孤立させない工夫や環境を患者さんに対してもスタッフさんに対しても作っておく事が重要だという事です。

【今月の教訓】
帰属意識を満足させるもの」という事はいかにその人の事を覚えていてあげると言う事が最優先。そしてその人に親しみのある言葉をかけてあげれる事。但し、数十人程度ならば自分の記憶の範疇でできますが、数百人、数千人そして自分一人だけの対応でないとなると非常に困難になります。
自分の記憶の補助やスタッフさんの記憶の補助、ましてやいなくなってしまった担当の人の記憶を受け継ぐ為にもコンピューターでの患者さん管理のシステムはとても有効です。
<プロフィール>

株式会社プラネット代表
小池和人

激動の時代を「魅力ある豊かな歯科医院経営を目指して」お手伝いしていきます!

株式会社プラネットホームページ
http://www.dentalx.jp/



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