人間力
株式会社ビジョナリープラネット取締役税理士 橋本和政


現在は、たいへん大きな変化のなかにあります。毎日のニュースで、「史上初」とか「最悪」とか、「パニック」とか、様々な表現で、語られていますが、医療の世界にも、そうした影響がじわじわとでてきているようです。先日も、新聞で、「家計防衛、節約のた
めに、医者にかかる頻度を減らす人が、少なくない。」という記事を見つけ、事態の深刻さを実感しました。

そうしたなかでも、患者さんの来院がひっきりなしにある医院もあれば、不況のあおりをまともに受けて、どうにもたちゆかなくなってしまっている医院もあります。こうした不況時には、いいところとそうでないところがはっきりわかれる二極化が、強まるようです。

この二極化の要因は、設備であったり、技術であったり、利便性であったり、と、いろいろ考えられます。
ただよくよく考えてみると、設備や技術も大事ですが、より大きな要因はヒトになってくるような気がします。

先日、興味深い話を聞きました。
ある医院では受付を、2名の女性が午前と午後で交代で担当されています。
取引業者さんからも電話があったりするのですが、同じ業者さんで、Aさんが受けると、かなり感情的なやりとりが交わされることが多いらしいのですが、Bさんが受けると、なにごともなく、逆にBさん曰く「あそこの業者さんは、いつも本当に助けてもらって有難いです。」というような感じになります。

はじめ、院長は、この業者さんは結構人数が多いので、たまたま二人がとった電話は、同じ業者でもかけてきた人が違うのだろう
ぐらいに考えていました。しかし、こうしたケースが、他の業者さんでも、あるいは患者さんの電話でも、あることに気づいたのです。

院長が状況を注意して見ていると、二人が応対している人は、どちらも同じ人であることが、わかってきました。
Aさんが応対すると、険悪な感じになり、Bさんが応対すると、なんともいえない温かみのある感じになる。

よーくBさんを見ていると、そのわけがわかりました。Bさんは、応対する相手に対し、わけへだてをしません。だれに対しても、思いやりのある対応をかえず、それが仮に、クレーマーのようないいがかりをつけてくるような人に対しても、あいかわらず温かい姿勢をくずさないのです。

こちらに非があるときはもちろん、相手に非があるような場合にも、「きっと、こちらの伝え方もまずかったかもしれない。」と考え、「こちらの方こそ、どうもすいませんでした。」と謝れる人なのです。
ただBさんは、そうした応対を意識してやっているのではありません。いろいろ話を聴いてみると、まったく無意識のようでした。

無意識がつくりだす究極の応対ともいえるものなので、私たちが、少し気をつけたり、小手先のテクニックでやろうとしても、Bさんのようにはいきません。

たえず人間力ともいえる部分を日々磨いていって、うわべだけではなく、本当に心からそう思えるようになったとき、自分の人格として、自然にあらわれる、ふるまいになっていくんだろうな、としみじみ実感しました。

技術の向上、設備の充実、専門知識の深耕、とどれをとっても大事なことですが、厳しい世の中で、ひときわ大事になってくるのが
人間力だと思います。これまであまり語られることが少なかった部分ですが、今こそここにスポットをあてていく時機なのではないでしょうか。
<プロフィール>

株式会社ビジョナリープラネット取締役 税理士

経営の手段であるお金の流れを明確にし、脱どんぶり経営をしたいと思っているプラネットユーザーに「キャッシュフロー丸かじりレポート」を提供している。毎年数回開催するキャッシュフロー丸かじりセミナーで、個別の経営相談、税務相談も実施している。

橋本総合会計事務所
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