自分の背中はみえない
株式会社ビジョナリープラネット取締役税理士 橋本和政


写真やビデオで、背後から撮られた場合、一瞬そこに写っているのが、だれだかわからないことがあります。この夏、海辺で撮ったスナップショットのなかに、腹回りにたっぷり贅肉のついた中年の後姿が……、それが実は自分だったことがわかりショックを受けたりします。

姿かたちならば、写真などで自分で見ることができますが、毎日の態度とか言動などは、第三者から言われて初めてわかることが多いです。日頃、自分のことは、自分がいちばんよくわかっているつもりでいたりしますが、実際は、そうではないんですね。
このことを意識していると、結構使えることがあります。
たとえば、先生とスタッフ間で、意思の疎通がうまくいかないとき。スタッフのAさんは、能力はあるのですが、すべてにわたりひかえめで、その結果仕事ぶりに熱意が感じられません。いつもそこそこの仕事に最近は詰めの甘さが見られるようになってきました。

先生は、そこを問題視して、社会の一般常識やビジネスマナーなどを、逐一解説し、最近では、問題行動があると随時その都度注意していきました。そうするとどうなったか。スタッフのAさんは、『自分はいじめられている。自分のことを辞めさせたがっている』と被害妄想をもつように。それからさらにAさんはますます消極的になり、それを見た先生は、さらに問題点を指摘。というように泥沼化。先生もAさんもまったく打開策がわからなくなってしまいました。

そんなとき、Aさんの先輩スタッフのBさんが、これを見ていて、日頃先生が関心をよせていることがらについて、『これを導入した場合のメリットデメリットについて、簡単にまとめて、Aさんから先生に提出しておいて』と依頼をおこなったのでした。
日頃、消極的な行動に悩まされていたAさんから、突然提案を受けて、先生は、目をぱちくり。

『Aさん、ありがとう。やればできるじゃない。』との言葉に、Aさんも笑顔満面。

それからは、先生とAさんの関係も好転。お互いに冗談を言い合えるほどに。これは先生もAさんも、自分が相手に対してどう写っているかわからなくなった状況に、機敏に反応したBさんの機転の賜物でしたが、それも“自分の背中はみえない”ということを、意識していたからこそ、の行動でした。
こうした意識を全員で共有できれば、いつしか『自分の背中も見ることができる』ようになるんですね。
<プロフィール>

株式会社ビジョナリープラネット取締役 税理士

経営の手段であるお金の流れを明確にし、脱どんぶり経営をしたいと思っているプラネットユーザーに「キャッシュフロー丸かじりレポート」を提供している。毎年数回開催するキャッシュフロー丸かじりセミナーで、個別の経営相談、税務相談も実施している。

橋本総合会計事務所
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